電線の許容電流とは|太さ別の早見表と補正
電線の許容電流は「安全に流し続けられる電流の上限」です。 太さで基準値が決まり、周囲温度とまとめる本数で下方向に補正します。 この記事では許容電流の意味、太さ別のおおよその早見表、補正係数の使い方、計算例までをまとめます。
1. 許容電流の考え方
電線に電流を流すと、導体抵抗で発熱します。被覆(絶縁)には耐えられる温度があり、 その温度を超えない電流の上限が許容電流です。太いほど抵抗が小さく放熱もよいので許容電流は大きくなります。
補正後の許容電流 = 基準許容電流 × 温度補正係数 × 電流減少係数
2. 太さ別 許容電流の目安(早見表)
周囲温度30℃・単独配線(がいし引き相当)でのおおよその目安です(600V IV/より線の代表値)。 電線管にまとめる場合は次章の補正で下げます。
| より線 (sq) | 許容電流の目安 (A) | 単線 (mm) 参考 |
|---|---|---|
| 2 | 約27 | 1.6mm 約27A |
| 3.5 | 約37 | 2.0mm 約35A |
| 5.5 | 約49 | 2.6mm 約48A |
| 8 | 約61 | 3.2mm 約62A |
| 14 | 約88 | — |
| 22 | 約115 | — |
| 38 | 約162 | — |
※ 数値は代表的な目安です。電線の種類・絶縁材・施工方法で変わるため、必ず規程・データシートで確認してください。
3. 補正係数(温度・本数)
放熱しにくい条件では、基準値に1未満の係数を掛けて下げます。代表的な目安は次のとおりです。
| 同一管内の本数 | 電流減少係数(目安) |
|---|---|
| 3本以下 | 0.70 |
| 4本 | 0.63 |
| 5〜6本 | 0.56 |
| 7〜15本 | 0.49 |
周囲温度が30℃を超える場所では、さらに温度補正係数(高温ほど小さい)を掛けます。 屋外・天井裏・盤内など熱がこもる場所は要注意です。
4. 計算例
例:5.5sq を 4本まとめて電線管に通す
基準許容電流 ≒ 49A
電流減少係数(4本)= 0.63
補正後 = 49 × 0.63 ≒ 30.9A
→ 連続負荷なら 約24A(30.9 ÷ 1.25)まで
単独配線なら49A流せる電線でも、4本まとめると実質30A程度まで下がる、という具合です。
5. 見落としやすい注意点
- 保護器とセット:ブレーカー定格は許容電流以下にします。選び方はヒューズ・ブレーカーの選び方を参照してください。
- 電圧降下も確認:長い配線では許容電流はOKでも電圧降下でNGになり、太くする必要が出ます。電圧降下の計算で確認します。
- 正式値は規程で:本記事の表は目安です。実施工は内線規程・技術基準と有資格者の判断に従います。
sq・周囲温度・束ね本数を入れるだけで、補正後の許容電流・負荷率・推奨sqまで自動計算できます。
電線許容電流計算機を開く(無料)よくある質問
Q. 電線の許容電流とは何ですか?
A. その電線に連続して流しても、絶縁被覆が許容温度を超えない電流の上限のことです。電線は電流で発熱するため、太さ・絶縁の種類・周囲温度・放熱条件で上限が決まります。これを超えると被覆が劣化・焼損する恐れがあります。
Q. 同じ太さでも許容電流が変わるのはなぜですか?
A. 放熱しにくいほど下がるためです。周囲温度が高い、同じ電線管に多数の電線をまとめる、といった条件では熱がこもるので、基準値に温度補正係数と電流減少係数を掛けて下げて使います。
Q. 許容電流とブレーカー容量はどう関係しますか?
A. ブレーカー(保護器)の定格は、電線の許容電流以下にします。電線が過熱する前に保護器が落ちる関係にしておくためです。許容電流<保護器定格になっていると、電線が守られず危険です。
Q. 許容電流を満たせば電線の太さは決まりますか?
A. 許容電流は最低条件です。長い配線では電圧降下のほうが厳しくなり、許容電流的にはOKでも電圧降下で1〜2サイズ太くする場合があります。許容電流と電圧降下の両方で確認します。
関連ツール
- 電線許容電流計算機:補正後の許容電流と推奨sqを計算
- ヒューズ・ブレーカーの選び方:保護器定格との関係
- 電圧降下の計算:こう長による電圧降下を確認
- AWG ⇔ sq 変換:電線サイズの換算
- 電線サイズ・電圧降下計算機:降下率と候補sqを計算