ヒューズ・ブレーカーの選び方|定格電流の決め方
ヒューズやブレーカーは「電線を過電流から守る」部品です。だから定格電流は、負荷に必要な電流以上、配線する電線の許容電流以下という挟み込みで決まります。 この記事では選定の基本手順、設計電流(連続負荷125%)の考え方、標準定格の早見表、 突入電流の注意点までをまとめます。
1. 選定の基本順序
保護器選びは、次の4ステップで「電流の大小関係」を整理するだけです。
① 負荷電流(実際に流れる電流)
② 設計電流 = 連続負荷なら 負荷電流 × 1.25
③ 保護器定格 ≧ 設計電流(標準定格から選ぶ)
④ 電線許容電流 ≧ 保護器定格
この大小関係(設計電流 ≦ 保護器定格 ≦ 電線許容電流)が崩れなければOKです。
2. 負荷電流の求め方
消費電力と電圧から負荷電流を出します。方式で式が変わります。
直流・単相:I(A) = 電力W ÷ 電圧V ÷ 力率
三相:I(A) = 電力W ÷ (√3 × 電圧V × 力率)
白熱・ヒーターなど抵抗負荷は力率1.0で計算できます。モーターやインバータ機器は力率(0.8前後)を考慮します。
3. なぜ1.25倍するのか(設計電流)
3時間以上続く連続負荷では、保護器自身も発熱して定格付近で誤動作しやすくなります。 そこで保護器を「定格の80%まで」で使う=負荷電流の1.25倍以上の定格を選ぶのが基本です。
設計電流 = 連続負荷電流 × 1.25
例:16Aの連続負荷 → 16 × 1.25 = 20A 以上の定格
短時間しか流れない負荷は1.25倍が不要な場合もありますが、初期検討では見ておくと安全側です。
4. 標準定格の早見表
保護器は決まった定格でしか売っていません。設計電流以上で最も近い値を選びます(製品により異なります)。
| 種類 | よくある標準定格 (A) |
|---|---|
| 配線用遮断器(ブレーカー) | 10・15・20・30・40・50・60 … |
| 管ヒューズ等 | 1・2・3・5・7・10・15・20・25・30 … |
※ 実際のラインナップは規格・メーカーで異なります。データシートで確認してください。
5. 計算例
例1:AC100V・1500Wのヒーター(連続・力率1.0)
負荷電流 = 1500 ÷ 100 = 15A
設計電流 = 15 × 1.25 = 18.75A
保護器 → 20A、電線は20A以上の許容電流(例 2.0mm/3.5sq級)
例2:DC12V・10Aの機器(連続)
負荷電流 = 10A
設計電流 = 10 × 1.25 = 12.5A
ヒューズ → 15A、配線も15A以上の許容電流を確保
6. 見落としやすい注意点
- 突入電流:モーター・電源・コンデンサ負荷は起動時に定常の数倍が流れます。 すぐ落ちる場合は遅延特性(モータブレーカ・タイムラグヒューズ等)を検討します。
- 電線とのセットで考える:定格を上げるなら電線も太く。保護器だけ大きくすると電線が守られません。 太さの目安は電線の許容電流で確認できます。
- 正式な選定は規程に従う:屋内配線は内線規程・技術基準に従い、電気工事士が判断します。本記事は初期検討の目安です。
負荷電流やW数を入れるだけで、保護器容量の目安と電線許容電流との関係を確認できます。
ヒューズ・ブレーカー容量計算機を開く(無料)よくある質問
Q. ヒューズやブレーカーの容量はどう決めますか?
A. まず負荷電流を求め、連続負荷なら1.25倍した設計電流を出します。その設計電流以上で、かつ電線の許容電流を超えない範囲の標準定格を選びます。順番は「負荷電流 → 設計電流 → 保護器定格 → 電線許容電流の確認」です。
Q. ヒューズ・ブレーカーは何を守るための部品ですか?
A. 主に電線(配線)を過電流による発熱・焼損から守るための部品です。だから保護器の定格は、その先につながる電線の許容電流以下にする必要があります。機器保護も兼ねますが、配線保護が基本の考え方です。
Q. 負荷電流ぴったりの定格を選んでいい?
A. 避けます。連続して流れる負荷では、保護器の定格を負荷電流の1.25倍以上(=負荷を定格の80%以下で使う)にして、温度上昇による不要なトリップを防ぎます。モーターなど突入電流がある負荷はさらに余裕や専用特性が必要です。
Q. ブレーカー容量を大きくすれば安心ですか?
A. 逆に危険です。電線の許容電流より大きい定格にすると、電線が過熱しても保護器が落ちず、配線が焼損する恐れがあります。保護器定格は必ず「設計電流以上、かつ電線許容電流以下」に収めます。
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