電線ロス比較計算機
公開更新|書いている人:鉄鋼・金属加工の現場に28年。いまは製造現場の管理職です。
同じ長さ・電流で電線サイズを太くした場合に、電圧降下、損失W、月額・年額の電気代ロスがどれだけ減るかを比較します。 長距離配線、LEDテープ、バッテリー配線、動力配線のサイズ検討に使えます。
比較条件
基準の電線サイズから太くした場合の電圧降下、損失W、電気代ロスを比較します。長さは片道距離です。
使用時間・判定条件
基準の年額ロス
10,798 円
121.0 W / 8.06%
最大サイズでの年額削減
9,256 円
14 sq、損失 85.7% 減
目標降下率を満たす最小サイズ
5.5 sq
2.93% / 末端 97.07 V
サイズ別比較
削減額は基準サイズとの差です。材料費差や施工費は含みません。
単相2線は往復2本分の抵抗と損失で計算しています。長さは片道距離です。
| サイズ | 電圧降下 | 末端電圧 | 損失W | 月額ロス | 年額ロス | 年額削減 | 削減率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2 sq基準 | 8.06%(8.06 V) | 91.94 V | 121.0 W | 900 円 | 10,798 円 | - | - |
| 2.5 sq | 6.45%(6.45 V) | 93.55 V | 96.8 W | 720 円 | 8,639 円 | 2,160 円 | 20.0% |
| 3.5 sq | 4.61%(4.61 V) | 95.39 V | 69.1 W | 514 円 | 6,171 円 | 4,628 円 | 42.9% |
| 4 sq | 4.03%(4.03 V) | 95.97 V | 60.5 W | 450 円 | 5,399 円 | 5,399 円 | 50.0% |
| 5.5 sq | 2.93%(2.93 V) | 97.07 V | 44.0 W | 327 円 | 3,927 円 | 6,872 円 | 63.6% |
| 6 sq | 2.69%(2.69 V) | 97.31 V | 40.3 W | 300 円 | 3,599 円 | 7,199 円 | 66.7% |
| 8 sq | 2.02%(2.02 V) | 97.98 V | 30.2 W | 225 円 | 2,700 円 | 8,099 円 | 75.0% |
| 10 sq | 1.61%(1.61 V) | 98.39 V | 24.2 W | 180 円 | 2,160 円 | 8,639 円 | 80.0% |
| 14 sq | 1.15%(1.15 V) | 98.85 V | 17.3 W | 129 円 | 1,543 円 | 9,256 円 | 85.7% |
抵抗成分だけの概算です。許容電流、被覆温度、電線管・束ね配線、ブレーカー容量、法規適合は別途確認してください。
関連ツール
電線ロス比較で分かること
電線を太くすると抵抗が下がり、同じ電流でも電圧降下と発熱損失が小さくなります。 このツールでは、基準サイズから標準sqを順に太くした場合の損失W、月額ロス、年額ロス、削減額を一覧で見られます。 「2sqのままでよいか、3.5sqや5.5sqに上げる価値があるか」を初期検討する用途です。
計算式
長さは片道距離を入力します。DC・単相2線は往復2本分、三相3線は3本分の損失で計算します。
片道抵抗 R = 抵抗率ρ × 長さL ÷ 断面積A
DC・単相2線の電圧降下 = 2 × I × R
三相3線の電圧降下 = √3 × I × R
DC・単相2線の損失 = I² × 2R
三相3線の損失 = 3 × I² × R
年額ロス = 損失W × 使用時間 × 使用日数 × 12 ÷ 1000 × 円/kWh
単体計算との使い分け
1つの電線サイズについて詳しく見る場合は電線抵抗・発熱・損失計算機、電源電圧に対する降下率と推奨sqを確認する場合は電線サイズ・電圧降下計算機が向いています。このページは複数サイズを横並びで比べるための比較表です。
注意点
- 材料費差、施工費、端末部品、取り回しやすさは比較に含みません。
- 力率、リアクタンス、突入電流、高調波は含まない抵抗成分だけの概算です。
- 許容電流、被覆温度、電線管、束ね配線、ブレーカー容量、法規適合はこの表だけでは判断できません。
許容電流は電線許容電流計算機、保護器容量はヒューズ・ブレーカー容量計算機も併用してください。
損失は電流の2乗で効く
この比較で押さえておきたいのは、損失が I²R で決まる点です。電流が2倍になると損失は4倍になり、電線を1段太くして断面積が1.6倍になれば損失は約1/1.6になります。 つまり、電流が大きく、長く、長時間使う配線ほど太くする価値が出るという関係になります。
逆にいえば、たまにしか動かない負荷や短い配線では、太くしても年間の削減額は数百円にしかならず、 材料費の差を回収できません。判断の分かれ目は電流値そのものより、「その電流が年に何時間流れるか」です。同じ20Aでも、 1日1時間の負荷と24時間連続の負荷では年間損失が24倍違います。
回収年数で判断する
電線を太くする判断は、次のように整理すると比較しやすくなります。
回収年数 =(太い電線の材料費 − 現行サイズの材料費)÷ 年間削減額
電線の想定使用年数(更新まで15〜20年など)より回収年数が短ければ、太くする側に分があります。 ただし新設と改修では前提が変わります。新設なら差額は電線の単価差だけですが、既設の張り替えは撤去・再配線の手間が乗るため、同じ削減額でも回収は一気に遠のきます。 既設配線で損失が気になる場合は、電線を太くするより負荷を分散する、力率を改善する、 電源位置を近づけるといった手を先に検討したほうが効くことが多いです。
盤側の制約も先に確認する
電線を太くすると、端子台やブレーカーの締付可能サイズ、圧着端子の呼び、電線管の占積率、 曲げ半径といった周辺条件が先に頭を打つことがあります。 特に既設盤では、端子が受けられる最大サイズが決まっているため、 計算上は有利でも物理的に入らないという結論になりがちです。 比較表で候補を絞ったら、実際に接続する機器側の許容サイズを確認してから決めてください。
よくある質問
- 削減額が大きいサイズを選べばよいですか?
- 電気代のロスだけでは決まりません。材料費、施工性、圧着端子や端子台の対応サイズ、盤内スペース、許容電流、保護装置との整合も合わせて判断します。このツールは損失差を数字で把握するための初期検討用です。
- 長さは片道ですか?
- 片道です。DC・単相2線は内部で往復2本分、三相3線は3本分の損失として計算します。ケーブルを引き回した実際の経路長を入力してください。
- 交流でも使えますか?
- 単相2線と三相3線の抵抗損失の概算には使えます。ただし力率やケーブルのリアクタンスは含まないため、長距離・大電流や厳密な設計では専門の計算資料を優先してください。
- 電線を1段太くすると損失はどのくらい減りますか?
- 損失は断面積にほぼ反比例します。2sqから3.5sqにすれば断面積が1.75倍になるので損失は約57%に、5.5sqにすれば約36%まで下がります。ただし年間の削減額は「その電流が年に何時間流れるか」で決まるため、稼働時間が短い回路では効果が出ません。
- どのくらいの回収年数なら太くする価値がありますか?
- 材料費の差額を年間削減額で割った回収年数が、その配線を使い続ける年数より短ければ有利です。新設は電線の単価差だけで済みますが、既設の張り替えは撤去と再配線の手間が乗るため回収は大幅に遠くなります。