乳牛THI(温湿度指数)計算
牛舎内の気温と湿度から、乳牛の暑熱ストレスの目安をすぐに確認できます。
牛舎内の温湿度
牛がいる高さで測った牛舎内の値を入力してください。屋外の気象値とは差が出ることがあります。
乳牛の温湿度指数
THI 78.3
危険域
送風・散水などの暑熱対策を行い、呼吸数、採食量、乳量、体温を確認してください。
乳用牛の判定目安
正常域
THI 67以下
警告域
THI 68〜75
危険域
THI 76以上
区分は農林水産省資料の乳用牛向け目安です。THIは環境の目安であり、風速、日射、乳量、泌乳ステージ、健康状態は含みません。
牛舎の暑熱対策を全体から確認
THIの判断、換気扇・ソーカー・細霧の選び方、導入順序、電気代・水道代・投資回収をまとめて解説しています。
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乳牛THIの計算式
THIは「0.8×気温+(相対湿度÷100)×(気温−14.4)+46.4」で計算します。気温が同じでも湿度が高いほどTHIが上がり、牛が体熱を逃がしにくい環境になります。
THIだけで判断しない
THIは気温と湿度から求める環境指標です。牛体に当たる風、直射日光、夜間の冷却、飼養密度、泌乳量などは反映されません。呼吸数の増加、採食量や乳量の低下、立っている時間の増加なども合わせて観察してください。
測定場所と時間
温湿度計は外気ではなく、牛が過ごす場所の高さに置きます。日中の最高値だけでなく夜間にTHIが下がっているかも記録すると、換気・送風の運転時間を検討しやすくなります。
THIの区分と現場で出るサイン
THIは連続した数値ですが、対応を決めるうえではおおまかな段階に分けて考えます。数値そのものより、その水準で牛にどんな変化が出るかを結び付けておくと判断が早くなります。
| THI | 状態 | 観察されやすい変化 |
|---|---|---|
| 〜71 | 正常 | 目立った影響は出にくい |
| 72〜78 | 軽度 | 呼吸数の増加、飲水量の増加、採食時間の変化 |
| 79〜88 | 中等度 | 乳量低下、横臥時間の減少、反芻の減少 |
| 89〜 | 重度 | 開口呼吸、よだれ、著しい採食低下 |
一般に用いられる区分の目安です。品種、泌乳ステージ、順化の程度で感じ方は変わります。
公開更新|書いている人:鉄鋼・金属加工の現場に28年。いまは製造現場の管理職です。
昼のピークより「夜に下がるか」が効く
暑熱の影響を左右するのは、日中の最高THIだけではありません。牛は夜間にTHIが下がれば体に溜めた熱を逃がせますが、夜間もTHIが高いままだと熱を持ち越したまま翌日を迎えることになります。同じ日中最高THIでも、夜間に十分下がる日と下がらない日では牛への負担がまったく違います。
このため、温湿度は日中だけでなく明け方の値も併せて記録するのが有効です。夜間にTHIが下がりきらない日が続く場合は、日中の対策だけでなく夜間の送風運転時間を延ばす判断につながります。連日の暑熱で回復の余地がない状態は、単発の猛暑日より影響が大きくなります。
THIには風速と日射が入っていない
計算式を見ると分かるとおり、THIの入力は気温と相対湿度だけです。実際の牛の体感には、牛体に当たる風速と屋根や壁からの輻射熱が大きく影響しますが、これらはTHIに含まれません。
同じTHI 80でも、風速が確保されている牛床と無風の牛床では牛の状態はかなり違います。逆に、遮光が不十分で屋根からの輻射がある牛舎では、THIが示すより厳しい環境になっていることがあります。THIは牛舎どうしを同じものさしで比べたり、同じ牛舎の日々を比較したりするための指標と考え、絶対的な安全ラインとしては使わないでください。
数値が出たあとの手順
- 牛床の風速を確認する。足りなければ送風の増設を検討(必要台数計算)
- 飲水環境を点検する。暑熱期の飲水量は平常時の1.5〜2倍まで増えます
- 散水(ソーカー)の導入や設定見直しを検討(散水量・水道代計算)
- 対策にかける費用と効果を金額で比べる(暑熱対策 採算計算)
参考:農林水産省「畜産・酪農における暑熱対策」、農研機構の乳牛暑熱環境に関する研究成果。緊急性がある個体は獣医師へ相談してください。
よくある質問
- THIはどこで測った温湿度を使えばよいですか?
- 外気ではなく、牛が実際に過ごす場所の高さで測った値を使います。牛舎の外と中では数値が大きく違い、屋根の輻射や換気の状態によって同じ牛舎の中でも場所差が出ます。牛床付近に温湿度計を置いて記録してください。
- THIがいくつを超えたら対策が必要ですか?
- 一般にTHI 72前後から影響が出始めるとされ、79を超えると乳量低下がはっきりしてきます。ただしTHIには風速と日射が含まれないため、同じ数値でも牛舎の条件で牛の状態は変わります。数値だけでなく呼吸数や横臥時間の観察と合わせて判断してください。
- 日中の最高値だけ見ればよいですか?
- 夜間の値も重要です。夜にTHIが下がれば牛は日中に溜めた熱を逃がせますが、夜間も高いままだと熱を持ち越して翌日を迎えます。明け方の値も記録し、下がりきらない日が続くようなら夜間の送風運転を延ばすことを検討してください。
- 乾乳牛や育成牛もTHIで判断してよいですか?
- 環境指標としては同じように使えます。ただし暑熱対策は搾乳牛に集中しがちで、乾乳牛は後回しになりやすい点に注意してください。乾乳期の暑熱は次産の乳量や生まれる子牛の発育に影響することが知られています。
- 計算式の46.4や14.4という数字は何ですか?
- THIを求める実験式の係数です。気温と相対湿度から体感的な暑熱の程度を1つの数値にまとめるために定められたもので、物理的な意味を個別に持つわけではありません。THIには複数の算式が存在するため、他の資料の数値と比べる際は同じ式かどうかを確認してください。